測定機・ソフト種類別 カメラ式非接触3Dスキャナ 事例・ソリューション

近年、人がおこなっている業務の自動化が進んでいます。計測業務をはじめとした幅広い業務で導入されており、人手不足の解消や生産性向上などにつながっています。自動化に使われるツールや導入するまでの手順などを詳しく説明していきます。

業務効率が上がる「自動化」とは?

業務の自動化とは、それまで人が担っていた作業にICTツールやロボットなどを導入し業務効率の向上を図ることが目的です。例えば、ロボットに測定機器を取り付けて計測箇所や動きを覚えさせてデータを計測・取得し、そのデータをソフトウェア上で自動解析して最終的な計測データを取得する、といった流れを、ロボットとソフトに自動でおこなわせます。

こうした作業を人が担う場合、以下のようなデメリットが考えられます。

  • 人員を割くため他の業務が滞る
  • 自動と比べて手動は時間がかかる
  • 計測技術や計測結果にばらつきが生じる
  • 計測漏れなどミスが発生する

自動化によって、これらのデメリットが解消される可能性があります。

自動化が注目される背景

ここからは、自動化が注目されている背景について深掘り、解説します。

働き方改革

働き方改革は、2019年に施行された働き方改革関連法案に基づいて進められている労働環境の改革です。その具体的な内容は以下のとおりです。

  • 年次有給休暇取得の義務化
  • 時間外労働の上限制限
  • 同一労働同一賃金

上記の背景から、仕事と生活を両立、調和させる「ワークライフバランス」の実現が重要視されるようになったこと、今までのような残業ありきの業務計画を立てられなくなったことから、業務の自動化が注目されるようになりました。

人材不足・コスト削減

現代の日本は少子高齢化が進み、それにともなって労働人口も減少傾向にあります。人材のリソース不足は現在もこれからもすべての業界で大きな課題です。

製造現場などで発生する単純作業や反復作業は、ときに多くの時間や人材を費やします。簡単な作業に手を取られてしまうと、ワークライフバランスの実現だけでなく、他の業務が滞ってしまったり、新しいサービスや商品の開発などにまで手が回らなくなったりしてしまいます。

業務の自動化が進めば、そういったリスクの回避や時間の確保が可能となります。

また、特定の人物だけが業務を把握する「属人化」を防ぐ面でも自動化は有効です。

業務自動化の種類

自動化できる業務はさまざまな業界に存在します。代表的な業務自動化の種類をご紹介します。

ソフトウェアによるプロセスの自動化(RPA)

RPAは「Robotic Process Automation」の略で、パソコンでおこなう作業をソフトウェアの導入で自動化することを指します。AIや機械学習、ルールエンジンなどが有名です。

RPAと似ているのが、マクロと呼ばれる自動化の仕組みです。一般的に広く使用されている「Excelマクロ」は、作業手順をプログラムし、伝票やグラフ、表などを自動で作成できます。

RPAは誰でも簡単に扱える一方、マクロはプログラミング言語を扱うため知識が必要となります。

AIを用いた自動化

AIは日本語で「人工知能」と呼び、大量のデータとパターンを学習させ判断を実現するソフトウェアです。近年では言語を理解し返答する「ChatGPT」や、単語から画像を生成する「MidJourney」などが登場し話題となりました。

AIの技術の浸透により、画像認識を使って持っている商品の決済ができるスマートストア、音声認識による文章化、チャットボットにより簡単な質問の返答なども実用化され始めています。

ロボットを用いた自動化

これまで人の手でおこなっていた作業をロボットに任せるという自動化の手法もあります。

例えば、自動車工場ではボディ製造工程にロボットが使われています。計測の工程では、スキャナを持たせたロボットアームの活用などがあり、人の手によるブレや漏れがなく、効率よく計測がおこなえます。

業務自動化を進める手順

業務自動化は具体的にどのように進めたらよいのでしょうか。その手順を詳しく見ていきましょう。

業務の棚卸をする

まずは業務の棚卸をしましょう。現在おこなっている業務にどのような工程があるのかを関係者からヒアリングして、細部まで書き出します。業務内容が出揃ったら、それぞれの業務量や難易度、発生頻度等を整理していきます。そうすることで、各工程の業務負荷や属人化の状況などが見えてきます。

業務フローや課題を見える化する

手順書やマニュアルがある場合は、実際の業務と照らし合わせて内容が古くないか、作業の流れとのズレはないか調査します。工程が複雑化していたり属人化していたりする場合は、マニュアル化して工程全体を見える化し、全体像をつかめるようにします。

見える化の工程では、業務全体を図式化したフローにタイムスケジュールを付け加え、どのプロセスがいつおこなわれているかがわかるようにします。

また見える化の工程で浮かんできた、組織に有益な情報や知識(ナレッジ)の共有も効率化アップに必要です。

自動化に向けて適切なツールや手法を選ぶ

業務の全体像を把握したら、どの部分を自動化するかを検討します。まずは自動化に適している反復作業や定型作業から検討するとよいでしょう。

自動化したい業務を絞り込んだら、それに合った適切な手法やツールを選択します。

例として、計測業務の自動化の流れを紹介します。パソコンと測定機器をつなぐインターフェースを用意し、ソフトウェアを選定したうえで、パソコン上で測定機器の制御をおこなうのが一連の流れです。ロボットアームの操作やデータの収集・加工など、自動化ツールを用いれば、計測の最初から最後まで自動化が可能です。

PDCAサイクルを回す

業務の自動化の効果を最大にするためには、自動化後に改善できる部分を洗い出し、より効率化を目指していく必要があります。そのためにも、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つを指すPDCAサイクルを回していきましょう。継続して実行していくことで課題を発見しやすくなり、次のアクションを起こしやすくなります。

計測の自動化とは?目的は?

計測の自動化には、計測精度の向上やスピードアップなど、さまざまなメリットがあります。

計測業務では、計測作業自体を自動化すれば人の手でおこなうより計測精度が高まり、結果のばらつきが少なくなります。計測後のデータ管理を自動化すれば入力ミスが減らせ、加工したデータやレポートを短時間で取得できます。

また計測の自動化の目的は、計測精度の向上、スピードアップから、効率化を図ることにあります。

「ロボットティーチング」とは

計測において、ロボットを動かすには、プログラムを与えて自動で動けるようにしなければなりません。これが「ロボットティーチング」であり、自動計測の肝の部分です。

ティーチングの例として、ティーチングペンダントの操作によるティーチングがあります。ティーチングペンダントと呼ばれるコントローラーのような機器を使用して矢印のコマンドを入力し、ロボットを実際に動かしながら計測ポイントを記憶させます。

計測の自動化のメリット

計測の自動化をおこなうメリットとして以下が挙げられます。

  • 毎回決まった箇所を漏れなく計測できる
  • 毎回一定の精度で計測できる
  • 人が操作しなくても計測可能になる
  • 一度ティーチングしたら、即座にそのとおり作動する

ロボットが計測している間に、従業員は他の作業ができる、ソフトで計測結果のデータ処理と解析をおこなっている間にロボットは次の計測を実行できる、という効率のよい作業フローが完成します。また、従来よりも時間が短縮されるのでN数が増やせ、値の精度をより高められます。

計測の自動化に必要なツール

では、実際に計測に用いられるツールにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

レーザートラッカー

三次元測定機は、対象物のX、Y、Zの三次元座標をデータとして取得し、対象物の形状や寸法、位置を測定するものです。門型など自動で測定できるものが多いですが、対象物のサイズに制限があり、大型の対象物にはハンディタイプなどマニュアル測定できるタイプが対応しています。マニュアル測定できる三次元測定機も、ロボットに取り付けることで自動化が可能です。

マニュアル測定にも自動化にも対応しているレーザートラッカーとしては、東京貿易テクノシステムのLeicaレーザートラッカーAT960があります。

詳細は以下ページからご覧ください。

LeicaレーザートラッカーAT960

協働ロボット

従来、製造現場で産業ロボットを導入する場合は安全柵を取り付ける必要がありました。しかし、2013年の労働安全衛生規則の改定により、安全装置を取り付けるなど一定の条件を満たせば人が働く現場で一緒に作業できるようになり、「協働ロボット」が登場しました。

協働ロボットと組み合わせ自由度の高い自動計測を実現する無人搬送車にAGVとAMRがあります。AGVは、走行経路を示す誘導体に従って自動で走行し荷物の搬送などをおこなうロボットです。AGVはガイド式、非ガイド走行方式の2種類があります。

また昨今注目を集めている自律走行搬送ロボットと呼ばれるAMRは、搭載したセンサーから情報を取得し誘導体なしで走行し、ルート上にある障害物を回避することや、再度ルーティングする機能があります。

ソフトウェア

業務の自動化にはソフトウェアの存在も欠かせません。データの収集・登録・加工・レポート化など、さまざまな作業を自動でおこない管理します。条件や手順が同じであれば何度も自動実行できます。

例として、東京貿易テクノシステムのPolyWorks|Inspector™を紹介します。あらゆる三次元測定機に対応した、製品エンジニアリングから製造まで全工程の解析と品質を管理するソフトウェアです。

詳細は以下からご確認ください。

PolyWorks|Inspector™

自動化事例・レーザートラッカーを利用したロボットで計測の作業効率が向上

レーザートラッカーを持たせたロボットの導入により、測定精度や作業スピードのバラつきをなくした事例を紹介します。

自動車の製造過程のひとつ、完成車両の抜き取り検査では作業者が手測定でおこなっており、1日に2台の検査が精一杯、かつ検査台数が少なく有効な傾向管理ができていませんでした。また、従来の自動建付測定設備を作成するためにはおよそ1億円以上の投資と測定のための広いスペースが必要、といった課題を抱えていました。

人の手によっておこなっていた測定をロボットの導入・自動化することで、より精度が高く、早く測定をおこなえるようになります。しかし、産業用ロボットでは安全柵で囲う計測専用の場所の確保が必須のため、課題の解決までには至りません。

そういった場所確保の問題を解決するのが、AGVまたはAMRにスキャナーを持たせた協働ロボットを載せるシステムです。ロボットがガイドに従って移動する、またはタブレットパソコンの指示で動かせるようになったことで、専用スペースを確保しなくてもロボットによる自動計測が可能となり、作業効率が向上しました。

こちらのシステムについて詳しくは以下のページをご覧ください。

Leica協働ロボット+AGV/AMRによる自動計測システム

まとめ

AIや機械学習、ロボット技術などの発達で、人の手でおこなわれていた業務の自動化が可能になりました。また自動化ツールの導入には、生産性の向上や効率化など、さまざまなメリットがあります。

働き方改革や人材不足など働く人の状況変化も相まって、今後も自動化は進んでいくことでしょう。自動化を進めるには、まず業務の棚卸やマニュアル化をして業務の全体像をつかみ、自動化できる部分はないか検討してみましょう。また、自動化を実現したい場合は、機器やソフトウェアをあつかうメーカーにぜひ一度相談してみましょう。

PAGE TOP