ダイカスト工場における製造プロセスでは、金型形状に問題がないかを確認するために、定期的に形状確認をし、保全することで製品品質を維持しています。金型保全を行う際、次のような課題があります。

  • 1. ダイカストマシンから金型を取り外さずに機上で測定したい
    シフトの最後に金型測定をすることが理想ですが、ダイカストマシンのサイズが大きければ大きいほど、ダイカストマシンから金型を取り外すのは大掛かりになってしまいます。また、次のシフトでも同じ金型で生産するため、ダイカストマシンから金型を外さずに機上で測定を行いたい。
  • 2. 機上で緊急保全時に形状保証ができない
    製品の抜き取り検査の際に、危険部位を発見し次の定期保全を待たずに今すぐに保全が必要な場合があります。現在は機上(ダイカストマシンに金型が取りついた状態)で緊急保全を実施していますが、以下の測定プロセスにおける課題があり、形状保証ができていないのが現状。
  • 3. 保全実施後の簡易検査として保全の成否をチェックしたい
    緊急保全含め保全を実施した後、初品の製品を簡易検査し、保全が正しくできているか否かを現場でもっと簡易に測りたい。

 機上:ダイカストマシン上のこと

課題

    従来の測定プロセスでは以下の課題があり、形状保証ができていません。

  • 1. 保全現場への金型持ち運びは工数がかかる
    機上ではなく、別の場所にある専用の保全現場に金型を持ち運んでお持ちの3Dスキャナで保全後の金型を測定し、形状保証ができているケースも増えています。しかし、これには金型の取り外しや、持ち運びに工数を要し非効率なケースがあります。
  • 2. 機上測定では既設の3Dスキャナを持ち込めない
    機上測定を実施したい場合、既存の3Dスキャナでは可搬性が悪く設置する場所がありません。よって、保全現場では設置できる測定機であっても、機上での測定ができません。
  • 3. 製品の簡易検査をしたくても測定待ちが発生
    金型保全部位の成否を製品で簡易検査したい場合であっても、従来の抜き取り検査はすべて測定室での大掛かりな詳細検査になってしまうのが現状です。よって、簡易検査目的であっても製品の持ち運びや、測定室での待ち時間が発生してしまいます。

従来の方法からプロセスチェンジをし、いかに現場での機上測定を可能にして測定プロセスの効率化を図れるかが重要なポイントとなります。

保全現場
金型保全後の保全箇所成否を
製品でも確認​

ソリューション

抜群の可搬性を持つ3DスキャナAQROSを用いることで、課題である機上測定を可能にし、測定プロセスの効率化を実現します。

1. 機上測定の実施

コンパクトな収納ケース1つ+PCを現場に持っていくだけで測定が可能です。

AQROSの更なる特徴は、オプションのWi-Fiバッテリーユニット(AQROS FreeBox)を使用して機上測定におけるケーブルレス測定が可能なことです。

通常の3Dスキャナは、有線のケーブルでPCに繋がり、通信や電源供給を受けています。しかし、保全現場といった入り組んだ場所では、このケーブルの取り回しが大変で、ケーブル断線のリスクもあり非常に危険となります。AQROS独自のWi-Fiバッテリーユニット(AQROS FreeBox)を使うことで、有線ケーブルによるリスクを避け、機上測定を実現します。

この抜群の可搬性により、機上で緊急保全を実施した箇所の形状保証も行うことが可能になります。

収納ケース

2. 保全現場での測定の実施

保全現場は振動の影響を受けやすい環境にあります。既存の3Dスキャナでは、その振動の影響を受けてしまい、なかなか満足のいく測定ができていないケースがあります。AQROSはそのような振動の影響を受けずに測定可能です。

保全現場では、定期的に金型をダイカストマシンから外して保全現場に持ち運び、不具合箇所の保全を実施します。従来、保全後は検査せずに金型をダイカストマシンに組み付けてアルミダイカストのトライを実施して、抜き取り検査時に初めて製品形状の不具合に気づきます。

AQROSで金型保全後の形状保証を実施することで、製品の形状不具合をなくして製造歩留りを向上させることができます。機上測定でなくても、限られたスペースで振動のある保全現場においてAQROSを活用することで、お客様の生産性向上に繋げていただけます。

金型の形状保証の
結果イメージ

システム構成(提案例)

AQROS-Scan

FreeBox
(Wi-Fiバッテリーユニット)

ターゲットマーカー/
マグネットキューブ

PC

AQROSに関する製品情報はこちらをご確認ください。

AQROS

可搬性抜群な工業向け3Dスキャナ

FreeBox(Wi-Fiバッテリーユニット)

腰に装着し、スキャナとは有線ケーブルで接続。FreeBoxからPCへはワイヤレスでデータを飛ばすため、ケーブルによるリスクがない。

ターゲットマーカー/マグネットキューブ

金型測定(特に機上測定)に適したマグネット式のアタッチメントを用いることで、作業効率アップ。シールタイプより簡単に設置・取り外しが可能。

ノートPC

FreeBoxからスキャンデータをリアルタイムに受信し表示。測定後の結果をカラーマップ表示。

AQROS独自の
Wi-Fiバッテリーユニット

まとめ

このようにAQROSを使って保全工程をプロセスチェンジすることで、金型保全時の機上測定を可能にし、これまでできなかった機上保全時の形状保証を実現します。保全した金型や抜き取り検査実施のための製品の持ち運びや測定室での待ち時間を削減することで製品歩留りも向上できます。削減した時間はお客様の製品品質向上のための時間に活用していただけます。

詳細につきましてはお気軽にお問合せください。
弊社ではご提案できるソリューションを多数用意しております。
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