文化財保護の課題とデジタル技術による解決策
文化財の保護は、過去の文化や歴史を次世代に伝える重要な遺産として、その価値を永続的に保存し、教育や研究、文化的な共有を通じて人々の知識や理解を深めるために必要です。しかし、その形状や材質の多様性、保存環境の制約、そして経年劣化の影響から、文化財の保護・保存は非常に難しい課題を抱えています。
特に、仏像や彫刻、古代建築物の装飾は、繊細で劣化しやすく、物理的な接触が損傷のリスクを高めるため、保存作業が容易ではありません。また、適切な環境での保存が必要な一方で、修復や修繕には高度な技術と莫大な費用がかかります。
これらの課題を克服するための一つの対策として、正確な記録や複製が有効です。
記録や複製を行うことで、文化財の形状や意匠をデジタルで保存し、継続的な修復や復元に役立てることができます。しかし、従来の複製技術では細部の再現に限界があり、質感や微細なディテールを忠実に再現することが難しいため、複製そのものにも課題があります。
課題
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従来の文化財保存の手法では、物理的な接触が避けられないことが多く、これによって保存対象物が損傷するリスクが常に存在しました。写真や模型による記録も時間の経過による劣化が進む中で、長期的な保存方法としては不十分で、大規模なデジタルアーカイブ※の作成が困難でした。
また、職人の技術に依存した複製方法では細部の再現に限界があり、質感や微細なディテールを忠実に再現することが難しい状況でした。
※絵画、建築物、遺跡などの文化財をデジタル技術を使って記録・保存・公開すること
このような課題がある中で、最新の3Dスキャニング技術を活用したデジタルアーカイブは、文化財保護の新しいアプローチとして注目されており、保存と公開の両面で重要な役割を果たすことが期待されています。
また、令和3年の文化財保護法の改正により、デジタル技術を用いた文化財の記録と保存がより重要視されるようになり、遠隔地でもアクセス可能なデジタルアーカイブの整備が一層求められるようになりました.
ソリューション
FLARE デジタルアーカイブ ソリューション
FLAREとターンテーブルを用いた高精度なカメラ式3Dスキャナにより、文化財を非接触でスキャンし、デジタルデータとして保存します。
これにより、熟練した職人でなくても細部を把握して効率的に複製することが可能になり、さらにスマホやタブレットを通じて遠隔地からもアクセスできるデジタルアーカイブを実現します。
測定の様子
スキャン後の3Dデータ
- FLAREとは?
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TTSが提供するカメラ式3D計測機です。対象物に特殊な光パターン(通常は格子状や縞模様の光)を投影し、カメラでそのパターンがどのように変形するかを撮影します。パターンが対象物の表面に当たると、その形状に応じてパターンが歪みます。この歪みの情報を元に、対象物の3D形状を再現します。
FLAREのメリット
1.繊細かつ高精度スキャン
繊細な文化財の表面ディテールや微細な彫刻を高解像度でスキャンします。
これにより、文化財の正確なデジタルアーカイブを作成し、将来的な研究や修復作業に活用できます。
2.非接触で文化財にダメージを与えない測定
非接触での測定が可能なため、文化財に傷をつけることなく、形状や表面の状態をデジタル化できます。
特に取扱いが難しい古い文化財や繊細な工芸品の測定において重要です。
3.現場での容易な使用とポータビリティ
軽量で持ち運びが簡単なため、文化財が展示されている現場や保管場所でのスキャニングが可能です。
専用の設置スペースや複雑なセッティングが不要なため、迅速な測定が可能です。
FLAREの強み
テクスチャーマッピング機能※により、色と形状の詳細なデータ化が可能!
※3Dスキャナで取得した形状データにオブジェクトの表面にある色や模様などの視覚的な情報(テクスチャ)を正確に重ね合わせる技術
実物模型
3Dデータ
効果
FLAREの導入により、文化財の保存・複製が効率化され、従来の手法と比べ時間短縮を実現、また劣化リスクの低減や保存コストも削減することができます。
また、デジタルアーカイブ化により、インターネットを通じてどこからでもアクセスできるデジタルデータベースを構築することで、遠方の方や足を運びづらい方々にも文化財の魅力を伝えることができ、多くの人々に文化財の魅力を広く伝えることが可能です。
ご興味やご不明点がございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。当社では多様なソリューションをご用意しており、皆様のさまざまなご相談にお応えいたします。お困りごとだけでなく、気になることやアイデアなど、どんな内容でもお聞かせください。
ユーザー事例
システム構成(提案例)
➢FLAREに関する製品情報はこちらをご確認ください。
FLARE以外にもLeica Absolute Trackerシステムがございます。