振動解析のためのデータ取得工数の削減 (MatchID)

ものづくりにおいて、シミュレーション（CAE）は必要不可欠です。シミュレーションは、実際にモノを作る前に3Dデータを用いてバーチャルで解析することで、その構造物が製造可能か、正常に動作するか、耐久性・強度・安全性に問題がないか、また、軽量化や騒音低減を実現できないか等を解析します。

例えば、自動車の車両開発においては、車両及び部品の様々な性能予測として、強度、剛性、疲労、NVH：Noise(振動) Vibration(騒音) Harshness(乗り心地)、空力、冷却、などがあります。このような性能予測を現物の試作と試験で解析するのは多大な時間とコストが発生してしまいます。これをシミュレーションに置き換えて、バーチャルに解析することで様々なパターンでの実験を可能にし、実験工数とコストを削減できます。

ここでは性能予測の中でも『振動解析』における課題とソリューション事例をご紹介いたします。

製品や部品の開発において振動解析は必須です。一般的に開発や設計工程では、振動から構造物の強度や特性を解析し、より軽くて強い形状や材質を探索しています。また、構造物には、形状により振動しやすい周波数が存在し、その周波数と同じ振動を受けると変異や応力が増幅してしまう共振が起こるため、それを避ける設計をしなくてはなりません。
さらに、設計通りになっているかを確認するために、多くの工数を掛けて現物の試作品で振動（加振）試験を実施しています。

基本的な振動解析には以下の2つの解析があります。

1. モーダル解析（固有値解析）：対象物そのものが共振する周波数と揺れ方を把握する解析
2. 周波数応答解析：単純な正弦波の入力に対する定常的な応答を求める解析手法です。外力も負荷するため揺れの大きさも計算できます

課題

製造業のあらゆる工程で振動解析は行われます。例えば、自動車の車両開発工程では、ドアスラム実験（ドアやハッチバックをバタンと閉める試験）や、風洞実験におけるボンネットの振動解析を行ったり、生産技術工程では、プレス成形時の金型の振動解析を行っています。そのような振動解析のためのデータ取得に、多数のセンサー等を取り付け、試験装置を用意した大掛かりな実験を行っているのが一般的です。しかし、現行の振動解析には次のような課題があります。

センサーなどの取り付けなどが煩雑で工数を要する
製品の振動による変位を簡単に測定したい
取得したデータを使用して、あるいは簡単にモーダル解析を行いたい

ソリューション

ハイスピードカメラで取得したイメージデータを元にバーチャルで解析するMatchIDを使って簡単に振動解析を実現します。これにより次の効果が期待されます。

準備工数削減
センサーコスト削減
CAEソフト不要

ソリューション：画像相関法（DIC）技術による形状・ひずみ・応力の履歴測定

DIC (Digital Image Correlation) は、光学的、数値的な測定技術であり、物体の表面形状の変位、変形場（ひずみ）を精度良く可視化できます。
さらにMatchIDでは、ひずみ分布のみならず異方性を考慮した応力の算出を実現しています。
また振動の観察も可能です。