品質管理システム

品質管理システム

品質管理システムとは、品質の安定や向上を図るためのマネジメントシステムのことです。英語ではQuality Management Systemと表記し、「QMS」と略されることもあります。顧客に提供する製品などに関して、顧客が求める品質の達成のために継続して品質改善をおこなうために機能します。

東京貿易テクノシステムでは「不良品をなくす」をミッションとして掲げています。品質管理システムを活用することで不良品を減らし、リコールや返品などのコストを削減。さらに、顧客満足度を向上させ、企業の評判を保護するお手伝いをさせて頂きます。

なぜ品質管理は必要なのか

企業が提供する製品やサービスの品質悪化は、企業の評価の低下に直結します。一度下がってしまった評価を取り戻すのは容易なことではありません。顧客に製品やサービスを継続して提供するためには、一定の品質を保ち続け信頼を積み上げていくことが大切です。

また、品質の維持をベテラン従業員に頼ってしまい属人化した現場も製造業では少なくありません。ベテラン従業員の退社によって品質が低下するのを避け、企業活動を続けていくためにも、品質管理システムの導入は不可欠です。

品質管理システムは、組織としての手順やルールを確立し、ベテラン従業員の退社が発生しても一定の品質を保った製品を提供することに貢献します。

製造業の品質管理における課題

各業界で活用されている品質管理ですが、製造業ならではの課題もあります。主なものを3つご紹介します。

データの共有が難しい

製造現場は工程や部門などでデータが分かれていることが多く、部門間の連携が取りにくい場合があります。それぞれが持つデータが紙媒体や独自のExcelで保存されていると共有や同時編集ができず、製造現場の状況、顧客のニーズ、品質レベルなどの情報が必要な部署に届きにくくなり、品質低下の原因になりかねません。

経験則による判断や属人化が進んでいる

ベテラン従業員から若手への技術継承がなかなか進まないといった属人化の問題も製造現場には多く存在します。ベテラン従業員に知識や経験が偏っていると、担当者が休暇の際などにトラブルに対応できないといった問題が起こります。

作業の標準化が進んでいない

属人化が進み、ベテラン以外の従業員に技術が継承されていない現場では、作業者の技術力によって品質が左右されます。担当者の休暇時や退社後も安定した品質を維持できるよう、日頃から技術の継承に取り組み、作業を標準化しておく必要があります。

品質管理を実現する方法

続いて、品質管理を実現するために具体的に何が必要なのか見ていきましょう。

QC7つ道具の導入

QCはQuality Controlの略で、品質管理を意味します。
QC7つ道具とは、品質管理で必要なデータ収集や整理・分析に欠かせないものです。パレート図、特性要因図、グラフ、ヒストグラム、散布図、管理図、チェックシートの7つを指し、数値データを定量的な視点から解析するために用いられます。これらを用いてデータの整理をおこない、問題を見える化して改善をおこないます。

QC7つ道具について、詳しくは以下の記事で解説しています。
品質管理を効率化するためのQC7つ道具の活用方法

PDCAの実施

PDCA とは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4つのプロセスを繰り返しおこない、改善を図る手法のことです。この4つのサイクルを繰り返すことで徐々にレベルアップを図り、改善のノウハウを蓄積しながら継続的に成長していくことを目指します。

品質管理システムの導入

品質管理システムの導入は、紙媒体やExcelでおこなってきた品質管理をデジタル上で一元化することです。品質を見える化し問題を見つけやすくする、業務の軽減につながるなどメリットが多くあるため、効率よく品質管理をおこなうためには品質管理システムの導入が欠かせません。

ただし、現在はさまざまな品質管理システムが提供されているため、導入する目的を明確にし、自社にあったシステムを見極める必要があります。

品質管理システム(QMS)の仕組みとは

品質管理システムはQMS(Quality Management System)と略されます。情報の一元化や分析を通じて品質向上を図るシステムです。その機能や仕組みについて解説します。

品質管理システムの機能・仕組み

品質管理システムは一般的に以下のような機能を備えています。

  • データ収集…検査装置のデータを収集、保存する
  • 検査指示…検査サンプル情報を登録し検査依頼を出す
  • 規格判定…検査結果が規格範囲内に入っているかチェックし合否、出荷等の判定を出す
  • 統計分析…生産過程の傾向の統計分析をおこなう
  • 出荷指示…出荷情報の登録と出荷依頼の受付をおこなう
  • システム連携…外部システムと連携し情報を取得する

また、品質管理システムには品質の改善を継続的におこなっていく仕組みがあります。たとえば、消費者からクレームが届いたら、そのクレームの原因を探し出し改善します。一部を改善するだけでなく、他にも問題がないかを確認し、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すPDCAサイクルを回しながら、よりよい品質を求めて改善と検証を繰り返します。

マネジメントシステムとは

QMSには品質(Quality)に加え、「マネジメントシステム」という言葉も含まれています。
マネジメントシステムとは、方針や目標を定めてその目標を達成できるよう組織を適切に「管理する仕組み」のことです。マネジメント(Management)は管理や経営といった意味をもちます。

組織の取り組みによって消費者や取引先が求める最良の結果(製品など)を得ることが、マネジメントシステム導入の最終的な目的です。現場まかせではなく、トップやリーダーの意思が関与します。

品質管理システム以外に、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)や環境マネジメントシステム(EMS)などいくつかの種類があります。また、それらのマネジメントシステムを同時に活用することもあります。

品質管理システムを導入する目的

品質管理システムを導入する目的は以下が挙げられます。

  • 高品質で信頼のある製品を作る
  • 属人化を解消し製品の品質を一定に保つ
  • 不良品をなくす
  • 製造における無駄を減らしコスト削減や生産性向上を図る
  • 法的なコンプライアンスの確保

また、東京貿易テクノシステムでは「不良品をなくす」をミッションとしており、設備データの収集・可視化、不具合の予防保全、品質のリアルタイムの可視化をおこなう製品を提供しております。

品質管理システム導入のメリット

品質管理システムを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

品質の見える化が進む

品質管理システムでは、PDCAサイクルを回して業務の見直しや改善を継続的におこないます。それにより集まったデータをもとに品質のOK・NGが可視化されると、不良品を工程内でコントロールできるようになります。見える化するデータには、不具合データやテスト業務データなどがあります。

品質の基準をどう定義するかは企業や現場ごとに異なりますが、品質をただ見える化するだけでなく、分析し改善につなげていくことが重要です。また、そのあとの工程につながりやすくなるラベリングなども必要です。

データ管理が容易になる

品質管理システムでは、設備と計測データを紐づけて管理するなど、ひとつのプラットフォームで管理や可視化をおこないます。データを一元管理するため部門間の連携がしやすく、データの取り出しも容易になります。顧客からクレームや問い合わせがあった場合でも、すぐにデータを取り出せるため迅速な対応が可能です。

製造工程で不具合が起きる前にアラートで知らせる機能や検査レポートの自動作成機能が付いているシステムもあり、業務や人件費の削減にもつながります。また、データ改ざんもしにくくなるため、製品や企業の信用の維持にもつながります。

品質管理システムの選び方

ひと口に品質管理システムといってもその内容はさまざまで、提供する企業も複数あります。そのなかからどうシステムを選べばよいのかをご紹介します。

管理したい対象にシステムが対応しているか

品質管理システムは、製品によって管理の対象が異なります。製造ラインの管理ができるか、設備のデータは収集できるかなど、品質管理をおこなううえで必要なデータの管理に対応しているかをまずは確認しましょう。

導入や操作は容易か

現場で使用する担当者が使いやすいシステムかどうかも確認しておきましょう。
せっかく導入したのに機能や使用感などが現場に合わないシステムでは、業務効率は向上しません。また、システム自体が導入しやすいかも大事なポイントです。現場の業務に組み込みやすく操作がしやすいシステムを導入し、業務効率アップを目指しましょう。

求めている機能を搭載しているか

搭載している機能もシステムによってさまざまです。検査業務や在庫管理だけなど特定業務の機能を搭載したシステムもあれば、データ収集後の紐づけやレポートの自動作成まで広く対応しているシステムもあります。

機能が豊富な品質管理システムを選べばよいというわけではありません。高機能になればなるほど価格が上がるのはもちろん、操作が複雑になる場合もあります。自社が求める機能が搭載されているかをしっかりチェックしましょう。

【参考】品質管理の規格

品質管理には、具体的な指標となるいくつかの規格があります。代表的なものを3つご紹介します。

ISO9001

ISO9001は国際標準化機構が定める品質管理システムの規格です。ISOはInternational Organization for Standardizationの略で、世界170ヵ国以上で100万以上の組織が利用しています。全10章からなり、組織の状況、リーダーシップ、計画、支援、運用などの具体的な要求項目が示されています。

ISO9001は国際標準化機構が定める品質管理システムの規格で、「一貫した製品」「サービスの提供」「顧客満足の向上」を取得の要求事項と定めています。ISO9001の準拠が取引条件や対外的アピールとなることも多く、さまざまな企業が取得しています。

JIS

JISは日本工業規格が決めた規格です。JISはJapanese Industrial Standardsの略です。民間主導で制定されたISOと異なり、工業標準化法に基づいて制定された、鉱工業品やデータ、サービスなどに関する国家規格です。

SQF

SQFは1994年にオーストラリア政府機関にて策定された食品安全システムの認証規格です。SQFはSafe Quality Foodの略で、現在はアメリカの食品マーケティング協会傘下のSQFインスティテテュートが運営しています。食品の衛生管理がメインですが、品質管理に関する規格でもあります。

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