三次元測定機

三次元測定機

三次元測定機は、空間中の三次元の座標(X,Y,Z)を測定し、対象物の形状や位置を正確にとらえる装置です。先端に接触子がついたプローブを対象物に当てて座標値を測定する接触式と、対象物に照射したレーザー光が反射して発光源に戻ることで対象物の三次元位置を測定する方法などがある非接触式の2種類があります。

三次元測定機の種類・特徴・使い方

三次元測定機にはさまざまな種類があります。それぞれの特徴や使い方をご紹介します。

レーザートラッカー

レーザートラッカーは、レーザー光を球体アクセサリであるリフレクタに向けて照射し、光が反射し発光源に戻ることで三次元座標を測定するものです。リフレクタを測定対象物に接触させ、その部分の座標を取ります。
門型や卓上の三次元測定機と比べて可搬性や汎用性が優れています。広範囲かつ高い精度での計測が可能で、建設・橋梁関連、重工業関連、自動車・鉄道関連、航空・宇宙関連など、幅広い業界で使われています。

カメラ式3Dスキャナ

カメラ式3Dスキャナは、対象物の表面形状をカメラで撮影し、非接触の測定データを取得する三次元測定機です。縞模様などのパターンを対象物に投影し、装置に搭載されたカメラがそれを撮影。三角測量によりZ方向、カメラによりXY方向を算出して、対象物表面形状を導き出します。

ハンディタイプ3Dスキャナ

ハンディタイプの3Dスキャナは、可搬性の高さや使い勝手のよさが大きな魅力。パソコンを持ち歩くように手軽に持ち歩ける製品もあります。操作性が高く、作業の効率化を図れる完全ワイヤレスなものもあります。

多関節アーム型

多関節のアームの先端にプローブやレーザースキャナを取り付けて測定する三次元測定機です。移動量や角度、位置を感知するアーム関節のエンコーダにより、先端スキャナの座標を把握します。ターゲットシールがなくても測定可能で、比較的小型であるため可搬性にも優れており、作業現場への持ち込みもしやすい三次元測定機です。

三次元測定機の選び方とは

さまざまな製品がある三次元測定機は、対象物や利用用途に合ったものを選ぶ必要があります。いくつかの選び方のポイントから、どういった種類を選べばよいかを解説します。

 

  • 接触式か非接触式か

プローブを対象物に当てて測定する接触式の三次元測定機は、レーザー光などが入り込めない形状の部品の測定に適しています。深穴や斜め穴、ワーク側面を持つ物体の場合は、接触式三次元測定機を選ぶとよいでしょう。

接触式はプローブを当てて測定するため精度は高いものの、変形する対象物には不向きです。
非接触式は測定する対象物が大きい場合など、大量に広い面積のデータを取得することができることと、直接届かない箇所は、機種によっては離れた場所から測定できるものもある為、適しています。レーザー光などを照射して測定するため対象物を傷つけないため、圧が加わると変形してしまう有機物の測定も可能です。

 

  • 機能とコストのバランスはどうか

三次元測定機は安価な製品から数千万円する製品まで幅広くあります。三次元測定機を導入する際は、最低限必要な機能や対象物のサイズ、不要な機能を整理しておき、そこから候補をあげ絞り込んでいきましょう。
また、導入後はキャリブレーションや機器の点検などのコストも発生します。

導入すべき三次元測定機はどれか選ぶのが難しいと感じた際は場合は、ぜひご相談ください。

 

  • 測定時間を考える

三次元座標のデータ取得は、小さい部品であれば手動での測定も可能ですが、点数次第では膨大な時間を費やすことになります。三次元測定機は、製品によって時間はそれぞれですが、一般的には短時間で測定が完了します。

 

  • 測定できないものを知る

非接触式三次元測定機では、黒色のものや光沢のあるものが測定できない場合があります。反射防止スプレーを塗布するなどで対応できる場合もあるので、導入前に測定方法の確認をおすすめします。

導入事例

弊社が提供している三次元測定機の導入事例をご紹介します。

有限会社原製作所様

2008年以降、リバースエンジニアリング企業として展開している原製作所様は、3Dスキャナを使った出張・受託計測をおこなっています。光学式測定機、マーカーやX線を利用する方式のものなど、要望に幅広く対応できる設備を整えていますが、なかでも2017年にLeicaレーザートラッカーの非接触三次元測定機を導入して以降、測定できる領域が広がり、それまで断っていた依頼も受け入れ可能になりました。

それまで使用していたフラッグシップマシンは、どうしても大きさの制限が出てきてしまい、10m以上のものだと準備に人手と時間がかかっていました。そこで、Leicaのレーザートラッカーが広範囲のデータを高速に計測・加工できる製品として選ばれ、これまで不可能だった計測を実現しました。

原製作所様が扱っているのは、データからものをつくるリバースエンジニアリング案件だけではありません。動的な追尾を得意とするレーザートラッカーを利用し、座標を把握してラインや機械の調整をおこなったり、生産工程でのロボット軌道や製造物との位置関係を見直したりする「空間情報を正確に測る案件」も多く請け負っています。

詳しくはこちらをご確認ください。

有限会社原製作所様

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構様

核融合炉の実用化に向けて工学技術の研究開発を進めている国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構様は、核融合装置『JT-60』の存在で注目を集めました。その後、日米共同で新たな超電導トカマク装置『JT-60SA』への改造がおこなわれており、この組み立てで活躍したのが、Leicaレーザートラッカーです。

『JT-60SA』は、550万Aという強力電流、4万kW×100秒という加熱パワーを制御する精密な巨大装置です。海外からも届く微妙に個体差のある部品を正確に組み立てるために、三次元CADシステムや測定装置を駆使しています。

組立室現場では、本体室に座標を作り、各機器の設置位置が座標値で管理されています。組み立て現場で扱う部品の多くは数メートルの大きさですが、設置誤差で許されるのは1mm以下です。高い精度を誇るレーザートラッカーだからこそ対応できた現場でしょう。レーザートラッカーは無線でパソコンと接続でき、座標値を確認しながら位置調整ができるため、効率よく合わせられます。

詳しくはこちらをご確認ください。

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構様

日本ファブテック株式会社様

鉄骨・橋梁の専業メーカーである日本ファブテック株式会社様は、長大橋に用いる橋梁やビル用の鉄骨を設計・製造しています。橋梁や鉄骨は仕様どおりの部材を期限までに供給する必要があり、寸法を正確に把握する技術が欠かせません。日本ファブテック株式会社様では以前、光波測定機を用いた計測技術をもちいてきましたが、人員を多く割く必要がある、測定ミスがあった場合に手戻りが起きるなどのデメリットがありました。

そこで、さまざまな計測技術を多角的に検討した結果、選ばれたのがレーザー計測技術でした。2013年に誕生した『簡測くん』は、東京貿易テクノシステムが販売・サポートする三次元測定システムLeica Laser Trackerをもちいたソリューションです。こちらの導入により、1日あたりの計測台数は従来比の約2倍となり、1人で測定操作が完結できるようになりました。

詳しくはこちらをご確認ください。

日本ファブテック株式会社様

よくある質問と回答

最後に、三次元測定機に関して東京貿易テクノシステムに多く寄せられるご質問と、その回答をご紹介します。

手動でおこなってきた測定を三次元測定機でおこなうことで、時間の短縮や人の手による技術の差がなくなり、正確な測定値が得られるようになります。熟練の技術を要する作業が誰でもおこなえるようになり、人材育成に手間やコストがかかることもなくなります。

また対象物を三次元データとして取得できるので、過去のデータと現在のデータを比較して品質管理に役立てたり、リバースエンジニアリングに利用することで、品質管理や開発分野の効率アップにもつながります。

カタログにある測定値は決められた測定精度の算出方法に基づいて表記されている精度のため、実際の現場では想定の精度に届かない可能性があります。使用上の運用で本当に欲しい精度がでるのか、実際のデモンストレーションで確認するようにしましょう。

導入前にどんなにデモンストレーションをおこなっても、実際に使用し始めると運用がうまくいかない場合があります。装置を導入して終わりではなく、運用についてしっかり相談に乗ってくれる会社から購入しましょう。

東京貿易テクノシステムでは、導入前の検討段階はもちろん、導入後のアフターフォローも丁寧に対応しております。ぜひお気軽にご相談ください。

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