量産工程における車両検査の必要性
自動車製造工場においては、数多くの部品が正確に組み合わされて最終的に自動車が作られます。ドライバーと乗客の安全を守るために自動車は高い安全基準を満たす必要があり、そのためには全ての製品が一定の品質基準を満たすことを保証し、製品の一貫性を維持しなければいけません。
工場では工程ごとに様々な検査を行い、製造プロセスが設計規格と一致していることを確認し、部品の寸法、組み付け、機能が正しく行われているかどうかを検査します。その中でも最終品質確認として行われる完成車両の検査は、製造過程でのあらゆるステップが正確に実行され、すべての部品とシステムが適切に機能しているかを保証するために不可欠です。
具体例として、ドアやフードの建付け検査、各種ライトやウインドウの取付け状態を確認する外観検査、スライドドアのガイドピンやアクセル/ブレーキペダルの不正確な組み立てや位置ずれを確認する組付け誤差の検出など、管理すべき項目は多数存在します。このように生産ラインでの精密な検査を行うことにより、製品の信頼性を高め、消費者への安全で高品質な自動車を提供することが可能となります。
しかし、従来の量産工程の検査プロセスには以下のようないくつかの課題があり、それらが製品の安全性や品質を保証することを難しくしています。
課題
-
- 精密検査の困難さ
・手作業での検査は人為的ミスが発生しやすく、また非効率で時間がかかります。
・曲面や複雑なデザインの部品を手動測定や従来ツールで正確に測定することは困難です。 - 品質保証の課題
・手作業による検査では検査者ごとに基準が一貫しないことがあり、品質にばらつきが生じる可能性があります。
・手作業での検査では測定データの追跡と分析が難しくなります(トレーサビリティの欠如)。
- 製造過程における効率性の欠如
・伝統的な測定方法は時間を要する為、タクトタイムに影響を及ぼし、生産のボトルネックになることがあります。
・非効率な検査プロセスは生産コストを上昇させ、投資回収期間を長くします。
- 精密検査の困難さ
ソリューション
AQROS-Scanによる自動車製造ラインのホワイトボディ
および完成車検査の最適化
AQROS-Scanを活用することで、量産工程内における迅速かつ効率的
な検査を実現し、コスト削減と生産性向上が期待できます。
➢AQROS-Scanとは
TTSが提供するハンドヘルド型の高精度3Dスキャナです。
対象物にレーザーを照射し、その反射光をカメラで受光して3D形状データを取得します。
位置合わせにターゲットマーカーを利用することで、スキャナーや対象物の動きがあっても精度の高いスキャニングが可能です。
また、ダイナミックリファレンス機能※を搭載し、振動のある環境でも精密な3Dスキャニングが可能です。
※対象物やスキャナ自体が動いている状態でも対象物との相対位置をリアルタイムで追跡・補正する機能
測定から検査までの流れ
AQROS-Scanの強み
FreeBox※を活用することで、スキャンデータを無線でソフトウェアに転送します。
これにより、PCとスキャナ間の通信ケーブルが不要となり、可搬性と自由度が向上します。
その結果、環境の制約を受けにくくなり、生産ライン内での検査業務が容易になります。
※Wi-Fi&バッテリーユニット
- 通信ケーブル(有線)の課題
-
- 作業性
物理的制約により作業の自由度が制限され、スキャナーの取り回しが不便になります。さらに、スキャン中にケーブルが測定対象物や周囲の設備等に引っかかるリスクがあります。
- コスト面
通信ケーブルが摩耗や断線することで故障のリスクが増加します。 これにより、予期せぬダウンタイムや修理コストが発生する可能性があります。
- 作業性
効果
AQROS-Scanを活用することで、量産工程内における迅速かつ効率的な検査を実現し、リアルタイムでのデータ収集と解析により生産ラインの問題点を即座に特定し迅速な対応が可能となります。これにより、不良品の早期発見や歩留まりの向上が可能となり、製品品質の向上と顧客満足度の向上にも寄与します。さらに、ダウンタイムの削減や材料費の節約も実現し、全体的な生産効率が大幅に向上します。
詳細につきましてはお気軽にお問合せください。弊社ではご提案できるソリューションを多数用意しております。
ぜひ、お困りごとをお聞かせください。
システム構成(提案例)
AQROS-Scanに関する製品情報はこちらをご確認ください。